オオクワガタの飼育(成虫編)

更新日:2000/06/11 (日)



近年のオオクワガタ

1999年には80ミリのオオクワガタが一千万円で売れた、という情報が全国、世界中に報じられ多くの反響があり、その結果、オオクワガタなどのクワガタ飼育に再びのめり込んでしまった方もいると思います。
お金になるために悪徳業者も増え、他人の山から勝手に盗んできた椎茸の廃材や、朽ち木を高額で売りつけている業者もいるようです。
また、元々は昆虫飼育愛好家だと思われる人もオオクワガタはお金になるので乱獲し販売者に転じた方も増えました。
このように環境破壊や、乱獲により個体数が減少したオオクワガタを他のクワガタのように自然の中で見つけるのは、初心者には至難の技です。そのため、現在ではインターネットでわけてもらったり、通信販売で購入したり、ペットショップで購入したものを累代飼育している方がほとんどだと思われます。



用意するもの

飼育ケース 大きいものが良い
生体 羽化後、1年程度時間が経っている個体
マット クヌギ、コナラなどの広葉樹を粉砕したもの
産卵木 クヌギ、コナラなどの椎茸のホダ木や朽ち木
エサ バナナ、昆虫ゼリー、リンゴなど
エサ皿 なくても良い



ペアリング適合サイズ表

オス(mm) メス(mm)
54 37
56 38
60 39
62 40
65 41
67 42
70 43
72 44
74 45



飼育する

ここで紹介する飼育方法は累代飼育の方法です。

まず、飼育ケースの底2〜5センチ程度にマットを敷きます。
次にその上に産卵木を2〜3本入れます。縦、横、お好きなように入れて構いません。私は横好きなので横で入れます。
この産卵木は、乾燥しているのであれば、半日から1日ほど水を入れたバケツなどに漬けて加水したものを入れます。
産卵木の皮は剥ぎ取っても、そのままでも構いません。私は面倒なのでそのまま入れていますが、気が付くといつも皮は剥がれています。
材の堅さですが、善良なクワガタ販売店などで買えば、間違いありません。
自分でもらってきたホダ木や山から取ってきた朽ち木の場合は、爪が入る程度だと思ってください。
爪の跡もつかないほど堅いと産卵しない可能性があります。
材については一度、善良な店でオオクワガタの産卵木を見せてもらえば、どんな感じの材がよいのかわかるでしょう。
次に、産卵木をマットで8割程度埋めます。そして、エサとエサ皿などを配置してマットに水分をざっと補給すれば飼育ケースの準備は終了です。
後はオオクワガタのペアを入れましょう。

飼育ケースは直射日光の当たらない場所に設置して、あまり移動させないようにします。
時々ダニが発生していないか確認し、たくさん発生していて、見た目も悪いようであれば、生体は歯ブラシなどでダニを落とし、マット、その他飼育ケース内のものは交換、または、加熱殺菌します。

羽化後、1年程度時間が経っている個体を用意するのは、羽化後間もない個体ですと、産卵数が少ない、又は産卵しない、オス、メスが喧嘩してどちらかが死んでしまうということがあるからです。
喧嘩は羽化後間もなくなくてもしますので、交尾させる時以外は別々に飼育している方もいます。私は一緒にずっと飼っていますが、今まで死亡事故はありません。
個体数は少ない方が良いと思われます。1ペア又は、オス:メス=1:2くらいで飼育するとよいでしょう。

飼育ケースにペアを移してから、クワガタムシの活動している時期であれば2〜3ヶ月後には産卵している可能性が高いので、産卵木を取り出して割り出します。
交尾を確認することができたなら、1〜2ヶ月後には産卵しているはずです。
産卵木を取り出した後に、新しい産卵木を入れておくと再び産卵する可能性があります。
しかし、産卵をたくさんした固体の寿命は短くなることを覚えておいて下さい。

全てのクワガタムシに言えることなんですが、特にオオクワガタ飼育で忘れてはいけないのが、メスに与えるエサです。
これが重要で産卵する直前や直後はタンパク質を必要としているようなので、高タンパク質ゼリーやヨーグルトなど、栄養価の高いものを与えます。
タンパク質が不足していると、メスがオスを捕食することにもなってしまうので不足させないようにしましょう。
カブトムシの幼虫や蛹を与えるとかなりのタンパク質の補給になるようです。
カブトムシでなくても、クワガタの幼虫やカナブンの幼虫などでも同じような効果が得られるかもしれません。
子供の頃に、ノコギリクワガタのメスとカブトムシのメスを一緒に飼っていて、カブトムシの卵をクワガタのメスが食べていたのを「何で食べるのだろう?」と不思議に思っていたのですが、オオクワガタ飼育をしているうちに、その理由がわかりました。

どっかの誰かが、クワガタを長く飼育すると足(フセツ)が取れたりするので、少し飼育したら強制的に殺して標本にします、と言っていたことを、今(執筆中)思い出しましたが、長く飼育していて足が取れたことは、私は十数年間ほとんどありません。(確かに大量に狭いケースで飼育すれば、体の一部が欠けることはありますが・・・)
足が取れるとか言った人は、どんな飼育をしているんだろう?と思います。木から無理やりバリッと引き離したりして遊んでいるのでしょうか?

  
左)仲良いオオクワガタのペア 右)飼育ケース(白いのはマットの菌糸が出てきたものです)



越冬

オオクワガタなど寿命の長いクワガタムシは気温がだいたい15度を下回ると活動をしなくなります。0度近くなると仮死状態になり、冬眠となります。そのため、温室などを利用しない普通の飼育方法では11月下旬くらいから越冬の飼育方法に変えます。

越冬の飼育方法といっても、特に何もありません。マットが乾燥し過ぎないようにして、極端な温度変化を避ける場所に飼育ケースを移します。エサは冬眠している時には食べませんので必要ありません。
これだけで5〜6月頃には活動を開始しますので、越冬に関しては簡単です。

冬眠をすぐにさせて、仮死状態を見たい!という方は、クワガタムシを冷蔵庫へ入れて1時間後に見てください。死んだようになっているはずです。その状態が仮死状態です。仮死状態のクワガタムシは冷蔵庫から取り出し、常温で放置しておけば自然に動き始めます。
決して強制的に加熱してはいけません。死んでしまいますよ。

  


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