灯火採集の薦め




更新日:2001/05/16 (水)




2001年5月15日 初版
著者:もみじ
発行:Donald Curtis
掲載:埼玉‐長野昆虫情報





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 目 次
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1.はじめに


広島在住のもみじです。日頃皆さんはどのような方法でクワガタを採取されていますか?
山の中を駆け回って探す時間のない、私のメインの採集法である灯火採集を紹介します。
この灯火採集の紹介で皆さんの楽しめる環境が少しでも長く保たれれば幸いです。

2.採集法の紹介


灯火採集法を紹介する上で他の採集法をざっと紹介します。

・樹液採集

もっともポピュラーな方法のひとつです。
日中に樹液の出ている木をチェックしておいて、夜間そこに集まるクワガタを捕まえます。
当然樹液の出ている木を知らなければ不可能な方法です。
従って私のような日中自由な時間が少ない人にはなかなか難しい方法になります。

・ルッキング採集

これももっともポピュラーな方法のひとつす。
○○採集法とかこむづかしい言葉を知らない子どもが自然に行う採集法です。
クワガタが居そうな木を丹念に見て探す方法ですが、何処にいるか分からないクワガタを探す方法ですから根気と時間が必要です。
従って樹液採集と同じく自由な時間が少ない人には不向きといえるでしょう。

・トラップ採集

クワガタが好む樹液の代用品をクヌギやコナの木に取付それに集まってくるクワガタを捕まえる方法です。
もっとも有名な代用品はバナナを焼酎と供に醗酵させたものです。その外昆虫ゼリー等があります。
樹液採集と違い、樹液を出す木を知らなくても行える方法ですので時間の少ない人にお勧めのようですが、トラップを仕込んだり、トラップを仕掛けたり、トラップを片づけたりと意外に時間を必要とします。

・朽ち木採集

9月以降翌年の春先まで行える採集法で文字どおり、林内の朽ち木をなた等で割り、中に居る幼虫や成虫を得る方法です。
この採取法はある程度深い林でなければ実行不可能(毎年コンスタントに都合のよい朽ち木が生産されるわけでない)と思われます。
また朽ち木は、クワガタ発生の根元であり、これを割り砕くことはすなわち発生源を断ち切ることとなり、翌年割ってしまった朽ち木で発生すべき固体を失ったことになります。
もし行うのであれば、朽ち木割した朽ち木のかけらを捨てずに、細かく砕きビンに詰めて、採取した全ての幼虫を飼育して見てください。クワガタとはまた違った趣があります。
私はクワガタの一齢幼虫と間違えてハナムグリを羽化させましたし、クワガタブリーダに嫌われもののコメツキムシも蛹まで育てると愛情が湧いてくるものです(ちなみに餌は特に与えなかったのですが、蛹化した同族を餌にしていたようです)、その他カミキリムシ等も楽しめます。

3.灯火採集



・灯火採集法の紹介

さて、本論の灯火採集ですが、灯火採集にも次の二つの方法があります。
ひとつは灯火トラップと呼ばれる方法で発電機と水銀灯を用意し白い布に反射する光で能動的にクワガタを集める方法です、またもうひとつは外灯や自動販売機の光に集まるクワガタを拾い集める方法です。
まさに灯下採集です。

・灯下採集のきっかけ

皆さんは小さいころカブトムシをどうやって入手していましたか?
30年も前の話で、田舎のことでしたがやはり近所の山でカブトムシやクワガタを捕まえるということは結構困難でした。
なぜならクヌギは山にしか生えておらず(関東平野の林をみたときはおお、これが林かと感動したものです)まむしの恐怖と薮を掻き分けて山を巡ることは小学生にはできない相談でした。
しかし私は常にひとシーズンには必ず十数匹は手製の虫かごに入れて西瓜をやったりしていました。
その答えは灯下採集でした(正確には早朝外灯の下でひっくり返っているのを拾ってまわったのでした)その安易さと効果は,今も他に換える物は見つかっていません。

・灯火採集法のメリット

お勧めは灯下採集です。
理由は、時間がかからない、低コストで、安全(?)で、生態系を今以上に悪化させることはないという点です。
具体的には、採集するポイント(5、6ヶ所)さえ見つけてておけば、採集に許される時間で行ける数だけ回ればよいわけですから出発時間と帰着時間の計画が容易に立てることができま。
また、灯火トラップには発電機や水銀灯のランプやガソリンを別途購入する必要があるのに対し、車で回るためのガソリン代だけでそれ以外の費用は必要ありません。
そして自動販売機や外灯といえば車道に隣接した場所ですから、クワガタを探していて夜の林に踏み込む必要はありません。
従って道に迷ったり、まむしにであったり崖からおちるしんぱいもありません。
やっぱり虫取りはただでできる子どものレジャーの一つですから。

・灯下採集採集場所の特定

最初はやはり足で稼ぐしかないでしょう。
ポイントは比較的周りに明かりの無い、道の駅やチェーン脱着場などの外灯の下やキャンプ場の管理事務所の近くの外灯や自動販売機、ログハウスの近くの自動販売機の下を中心に10m位が範囲です。
外灯の真下にばかり気を取られて大型のミヤマを踏み潰したと思われる死骸を外灯から少し離れたところでよく見かけます。
特定のポイントとして側に死骸のかけら(夜ならばねずみやたぬきやきつね、朝ならば鳥に食べられた証拠です)があれば間違い有りません。

・灯下採集採集の時期

基本的には6月以降から9月まではシーズンですが、他の親子連れやマニアを避けるためには6月中がベストです。
どうしても夏休み中や寝苦しい夜は灯下もラッシュを迎えます。
灯下採集採集時間これも基本的には日が落ちてから昇るまでの間でしょうが、7時から10時くらいが、翌朝の仕事への影響や家族サービス中に眠くなることを避ける意味からも適当でしょう。

・灯下採集で採集した種類と数

最も多く取れたのはノコ♀で毎日通えば数十匹は楽勝でしょうがそんなにはいりません。
ノコ♂は大顎型・中顎型・小顎型が十匹程度こいつも定員オーバーの関係でこれ以上はごめんで。
次に多いのアカアシの♀、ミヤマ♀、コ♂、ミヤマ♂、スジ♂、コ♀、ヒラタ♂、ヒラタ♀といった順番です。
あんまり多くとっても、限られたケース内ではバラバラ死体が増えるだけで意味無しです。
多い日は取り混ぜて十数匹のことも有りますが、坊主の日もあります湿度や天候、月齢が影響していそうですが、統計的なデータは取っていませんのであしからず。
これは私の経験ですので、場所、時間によっては別な可能性があるとおもいます。

・お持ち帰り方法

大事な獲物同士が噛み合って、家路に就いたらバラバラ死体にとさせないために、小さなタッパや容器に1匹ずつ入れて持ち帰ります。

・その他

服装、夏の暑い夜ですが、長袖、長ズボン首にタオルを巻いて、大きな麦わらをかぶるのがよいでしょう。
灯下にはいろんな虫が飛んできます。
蛾や川虫、蚋、蚊、アリガタハネカクシ等が首筋や髪の毛に入り込むといったことを避けるためには絶対です。
いやな虫も居ますが、普段はなかなか取ることが困難な角とんぼやハンミョウやおけらといったレア物も容易にゲットできます。

4.後書き



だらだらと書いてしまい読みにくいとは思いますが、どうかご勘弁を。
このシーズンはぜひ灯下採集を楽しんでみてください。
また、私以外の人の執筆も参考にされるとよいと思いますので、私がよく参考にしているHPのURLを紹介しておきます。

爆発栄螺の灯火採集講座

「電気クワ馬鹿の灯火採集奮闘記」

屋台(灯火セット)図鑑


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