ビプラギアトゥスノコギリクワガタの飼育(成虫編)



更新日:2002/06/04 (火)



香港や台湾などで比較的簡単に採集できるというビプラギアトゥスノコギリクワガタの飼育について紹介したいと思います。

このクワガタは、インターネット上で知りあった方から「台湾のコクワと言えるほど簡単に育てられるし、場所も取らないから飼育してみます?」とのご好意で頂き、累代飼育しているものです。

なお、以下は中型ケースで1〜2ペアを累代飼育することを前提としていますので、これを応用してケースサイズや匹数を考える目安にしてみてください。



左♀/右♂
(♂はサイズにより歯型が変わります。これは小さい個体です。)


用意する物(基本的にコクワガタと同様)

■中型以上の飼育ケース
■エサ皿
■エサ
■クヌギ、コナラなどの産卵材
産卵材は高級なものは必要なく細めでも太めでもOK。
質は良いに越したことはありませんが、一般的な店で売られているものならどれでもOK。
質の良い産卵材とは、クヌギ、コナラ共通で、ドライバーなどで切り口の部分を少し削ってパリパリいうくらいの朽木です。

■飼育マット
飼育マットは乾燥気味よりも湿り気が多い方がいいようです。ビプラギアトゥスノコギリクワガタを頂いた方からもそのようにアドバイスを受けました。
私は少し多すぎたかな、くらいまで加水して、あとは産卵するまでずーっとそのまま飼育するのが多いです。乾燥したからといって死ぬことはありませんでしたが、湿っている方が適しているようです。
マットは幼虫の餌になることも考えて細かい(くぬぎ純太くんより少し細かい程度)ものを利用しています。毎年これで大量の幼虫が生まれています。


飼育容器へのセット

飼育ケースにケース底から7〜10センチ位まで飼育マットを入れます。
中型ケースで半分程度です。

次にバケツなどに産卵材を入れて水を張り一晩浸した産卵材を1本横して入れます。
産卵材にアオカビが見えますが、無視して問題ありません。

飼育マットを掻き分けるようにして真ん中に産卵材が見えなくなるまで埋め込みます。埋め込んだらフワフワしている飼育マットを少し手で押しておきましょう。
そして上からザッと水をかけておきます。

次に中に成虫を入れます。
昆虫ゼリーはあまり食べないので、1つ入れておけばかなり長持ちします。ゼリーのフタは全て取っても構いませんし、カッターなどでフタにバッテンを切ってそのまま置くだけでもOKです。
ビプラギアトゥスノコギリクワガタは数年(2年強)生きますので、餌として昆虫ゼリーを与える方が果物を与えるよりは適していると思います。

成虫を入れればたいていすぐにもぐって隠れてしまいます。
特に蛹室から人間の手で取り出した場合、体調が整ってないので、もぐったまましばらく出てこないことがありますが、気にしないで飼育を続けましょう。体調が整えば、夜活動を始めます。
転倒しにくいので、写真のように足場を入れなくても構いませんが、もしものことを考えると樹皮や落ち葉を入れておくのがいいでしょう。

フタを閉めて飼育ケースのセットは完了です。


成虫のペアリング

ビプラギアトゥスノコギリクワガタは特にペアリングと言っても人が何かをする必要はまったく無いと言えます。
私などは、ほったらかし飼育ですが、自然に幼虫が発生してきます。
喧嘩をしても、殺しあうまですることは無いようで、おとなしい、かわいらしいクワガタです。


日常の飼育

週に一回程度、飼育マットの湿り気と餌切れに注意しましょう。
特にすることはありません。
注意点は成虫を飼育マットから取り出して観察したり、遊んだりすることが多くなると弱ってしまいますので、気を付けましょう。
振り回したり、投げたり、踏んだり?!しなければあまり関係ないですけどね。

飼育して数ヶ月が過ぎると、ケース底に幼虫が見え始めます。
そうなったら飼育ケースをひっくり返して幼虫を個別飼育しましょう。
飼育マットの中からも産卵材の中からも幼虫がボコボコ出てくるはずです。

なお、私の自宅(埼玉県)では室内飼育なので、温室は一切使っておりません。
夏場はあまり暑くない、人間がいる部屋や比較的涼しい場所(玄関、床下など)に飼育ケースを置けば問題ないでしょう。
冬場は、私の家では玄関に置いておきます。気温がマイナスにならなければ死ぬことはないようです。
ノコギリクワガタ、と名前にあるので、1年も生きない、と思っている人もいると思いますが、私のところでは毎年冬を越して生きています。


  

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