オオクワガタの飼育(幼虫編)

更新日:2000/06/11 (日)



幼虫の割出

産卵木に産卵痕が見つかったり、交尾を確認した後に、産卵木から幼虫を取り出します。
すぐに取り出そうとすると、幼虫ではなく、卵である可能性があるため、産卵後2ヶ月程度してから割出を行うのが適当だと思います。
割出は、産卵木を割って中から幼虫を取り出すのが目的ですので、産卵木を手とドライバーやナタなどを用いて少しづつ割っていきます。
これだけは雑に行うとせっかくの幼虫がつぶれて死んでしまった、ということになりますので、慎重且つ、丁寧に行います。


幼虫の移し変え

割出された幼虫は、産卵木よりも栄養のある幼虫飼育専用の飼育セットに移します。
幼虫の飼育方法はいくつかありますので、以下に簡単に説明しておきます。




菌床飼育

現在、一番簡単に幼虫を大きくする事ができて、手間も掛からない人気のある飼育方法です。
菌床とは、茸栽培に使うものと考えてください。クワガタ用の菌床でも実際に茸が生えてきて食べることもできます。
一番簡単に幼虫を大きくする事ができますが、費用が高く、幼虫が途中で死亡する事が他の飼育方法よりも多いと思います。

飼育するには、まず菌糸瓶というものを購入します。そして菌糸瓶の説明書や販売店の説明の通りに中に幼虫を一匹づつ入れて、蓋をして終わりです。後は比較的温度変化の少ない暗い場所に置いておくだけです。
温度に関して、30度を超えると菌糸の元気がなくなってきますので、お金のある方は夏場は冷房等で25度前後に冷やしておく事をお薦めします。
私は埼玉県の、室内温度が時々30度を超える場所で飼育していますが、そんなに気を使う必要はないかな?と思いました。

菌糸瓶飼育では成虫にするまでに瓶を3回程度交換する必要があります。
交換しないと幼虫が死亡する可能性が大変大きくなります。
交換の目安は瓶の中の白い部分が2割程度になったら交換します。
もっと早く交換した方が幼虫が大きくなることが多いようですが、私は白い所が全部無くなってから交換(もったいない気がするもんで、つい・・・)することがよくあります。
それでもオスで70ミリ前後まで羽化してきます。交換する瓶のサイズは幼虫の大きさによって大きくしていきます。

一般的には同じ飼育容器で幼虫を複数飼育すると共食いが発生するというウソに近い説明が広まっていますが、エサさえしっかりあれば、そう簡単に共食いはしません。
そのため、お金と手間をかけずに幼虫を飼育するためには、菌床ブロックというもの購入して飼育します。
本来これは、ブロックを崩して、瓶に自分で詰めて利用するものですが、瓶には詰めずに、ブロックのまま使います。
まず、ブロックの入っている袋の一部を切ります。そしてブロックに3〜6程度幼虫の入る穴を開けて、その中に幼虫を入れます。
そして、袋の切り口を再び閉じて、後は菌糸瓶と同じように設置して置くだけです。
この方法ですと、2〜3ヵ月後に菌糸ブロックを割ってみると3齢幼虫になっていると思いますので、その後個別飼育か、ブロック飼育を続けて、羽化までもっていきます。

共食いして全滅だ!ウソつくな!と思う方は、一度山に行ってなんでもいいので幼虫のいそうな朽木を割って見て来てください。
同じ朽ち木の中に幼虫がたくさん育っているということがよくあるはずです。
すぐに共食いするのであれば、そんなことはあり得ないので、共食いなんてそう簡単にするものではない、ということがよくわかりますよ。


菌糸瓶で育ったオオクワガタの3齢幼虫



発酵マット飼育

これまた、人気のある飼育方法で、クヌギやコナラなどの木屑(マット、フレーク)を薄力粉や強力粉、その他いろいろな添加剤を混ぜて発酵させた木屑を用いて幼虫を飼育する方法です。

発酵マットは作成に失敗していると幼虫が死んでしまったり、全然大きくならないということが時々あります。
でも私は一回目から失敗しなかったので誰でも簡単にできるので、是非作成に挑戦して欲しいと思います。

作り方は、【現時点では省略します】

発酵マットが完成したら、水分を調整して瓶などに堅く詰めこんで、そこに幼虫を入れて蓋をして終わりです。
瓶に詰め込む場合は瓶の上から3〜5センチの空間を開けておいてください。理由はいろいろありますが、省略します。
蓋と瓶の間には新聞紙やコーヒーフィルターなどを挟み込んでおくと雑菌等の混入が防げます。

発酵マットも羽化させるまでに3回程度エサ交換が必要です。3ヶ月に一回程度か、又は糞が目立ってきたら交換します。
交換しなくても1リットル程度の瓶で飼育しているのであれば、60ミリ弱が羽化してきますので、特に難しい飼育方法ではありません。
多くの種類の添加剤と言われるものが販売されていますので、いろいろ使ってみるのも面白いですよ。
自分で作ればもっと面白いでしょう。

私は効果不明のどんぐりマットも使ってみました。薄力粉とどんぐりの皮を剥いて中の実を粉にしたものを混ぜて作ったものです。
その他にも豚肉マットなど使ったこともありますが効果不明です。

注意点は、冬場は混ぜ物をして発酵させなくても、幼虫は順調に育ちますが、夏場は混ぜ物をして発酵させないで用いると、幼虫が入った状態で自然に発酵して、温度が上がり、幼虫が死亡することがありますので夏場は発酵させることが重要です。


マット飼育

一番幼虫の死亡率が低く簡単で、幼虫があまり大きくならないという普通の飼育方法です。
市販されているクヌギマットなど水分を調整してから瓶に詰めて飼育します。エサ交換は発酵マットと同じように行います。


材飼育

飼育のプロが行うと大型の形良い、成虫が羽化してきます。
普通の人がやるには一番面倒で、難しい飼育方法です。失敗すると時間とお金の無駄になることが多いと思います。
菌糸瓶などでは1年で成虫になりますが、材飼育ですと2年以上かかる場合もあり、大変時間がかかります。
また、材も質のよいもので、大きいものを使わないと、途中で交換することになり、幼虫にとって好ましくありません。
そのため、質のよい、大きな材を仕入れるにはお金がかかります。

とにかく羽化させたい、と思うのであれば、質を問わず大きな材に幼虫をいれて、成虫が出てくるまで待つだけです。
羽化サイズ等にこだわらなければ手間はかからない飼育方法です。

何かと面倒で、難しいので省略します。


全ての飼育方法での注意点

エサ交換や、水分管理をしながら飼育を続けると瓶飼育の場合は幼虫が蛹になる瞬間を見れるかもしれません。
しかし、蛹になる瞬間が見たいと思っても以下のことには注意してください。
幼虫が蛹になる前に黄色くなりますので、蛹室ができていて黄色い幼虫になっている場合は、できる限り動かさないようにしてください。
動かしたり、黄色い幼虫に触ると、蛹になれずに死んでしまうことがあります。

何もしてなくても幼虫が黒くなっていれば死んでしまったということですので、次の飼育に備えましょう。



菌床飼育での副産物

菌床飼育をしていると誰もが菌床から茸が生えてくるのを体験すると思います。
しかしこの茸を実際に食べた方は少ないと思います。
そこで、私が食べた時の簡単な感想と茸に関する情報を少しだけ提供しようと思います。


菌床から生えてきた茸をストーブの上で焼いているところ


この焼いた茸に醤油を少しつけて食べたところ、食べられない代物ではありませんでしたが、美味しいとも感じませんでした。
もっと時間をおけば、茸は大きくなるので、それを食べた方が美味しいのかもしれません。


スーパーマーケットで売られている姫ひらたけ


スーパーマーケットで、オオヒラタケが売られているのを見たことはありませんが、姫ヒラタケなら売られていました。
これは豚汁か何かに入れてあるものを食べました。これはまずまず、美味しかったです。
オオヒラタケにも応用できると思われるヒラタケのレシピ



成虫サイズ予想表

終齢幼虫の体重(g) オスのサイズ(mm) メスのサイズ(mm)
8 50 38
10 54 40
12 57 44
14 60 46
16 64 48
18 67 50
20 70 それ以上
22 73 それ以上
それ以上 それ以上 それ以上


   

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